旭川といえばラーメン、と思っていませんか。もちろん旭川ラーメンは旭川を代表する味ですが、地元の人が「旭川に来たなら食べていって」と真っ先にすすめるのは、実はもう一つ別の料理だったりします。それが「新子焼き」です。
新子焼きは、若鶏の手羽を含む骨付きの半身を、まるごと1枚焼き上げた料理。串には刺さっていません。皿からはみ出す大きさの鶏が1枚どんと出てきて、ナイフもフォークもなく、手と箸でかぶりつきます。戦後の旭川で生まれ、2022年には文化庁の「100年フード」にも認定された、市民のソウルフードです。
ただ、いざ食べようとすると迷います。提供している店は10軒前後あり、価格は770円から2,000円まで2.6倍の開きがあります。味付けもタレの店と塩の店があり、昼から開いている店もあれば夜しかやっていない店もある。おまけに注文してから焼き上がるまで30分以上かかる店が普通なので、閉店間際に飛び込むと食べられません。
この記事では、価格・味付け・営業時間・アクセスを1軒ずつ調べ直したうえで、旭川の新子焼きが食べられる名店6軒を紹介します。あわせて、注文のタイミングや食べ方、シーン別の店の選び方、札幌へ持ち帰る通販の選択肢まで、迷わないための情報をまとめました。
・新子焼きとは何か、なぜ旭川で生まれたのかという背景
・770円〜2,000円で食べられる名店6軒の価格・住所・営業時間
・タレと塩の違い、焼き上がり30分待ちへの対処法
・一人旅・カップル・家族連れ・出張それぞれに向く店
・旭川まで行けない人向けの通販・ふるさと納税という選択肢
そもそも新子焼きとは?旭川で戦後から続く「若鶏半身焼き」の正体

新子焼きは、旭川市内の焼き鳥店・居酒屋で提供されている郷土料理です。「旭川名物“新子焼き”の会」の会則第3条では「若鶏の手羽も含む半身を焼いたもの」と定義されています。定義がきちんと文章になっているあたり、地元がこの料理をどれだけ大事にしているかが伝わってきます。
串に刺さっていない焼き鳥——若鶏の半身が丸ごと1枚で出てくる
結論から言うと、新子焼きは「焼き鳥」の一種でありながら、私たちが想像する焼き鳥とはまったく見た目が違います。1本ずつ串に刺さった状態ではなく、鶏を縦半分に割ったものが皿に1枚。もも肉・むね肉・手羽・鶏皮・骨まわりの肉が全部つながったまま出てきます。
だから1皿の中で食感が何度も変わります。もも肉はしっかりした噛みごたえとジューシーさ、むね肉は淡白でほろほろ、手羽の付け根はゼラチン質でねっとり、皮は焼き目がついてパリッと。1枚で5種類くらいの味わいがある、と言えば伝わるでしょうか。とり丸亭の商品説明でも、若鶏半身450gの中にモモ・ムネ・手羽・鶏皮といった部位の食感が同居することが特徴として挙げられています。
使うシーンとしては、複数人で1皿を分け合うのが旭川の標準的なスタイルです。2〜3人でつまみながら、串ものやチャップ焼き(豚肩ロースのステーキ)を追加していくと、ちょうどいい量に落ち着きます。一人でも食べきれない量ではありませんが、ほかのメニューを頼む余裕はかなり減ります。
注意点は、手が汚れることです。骨まわりの肉は箸だけではきれいに外せないので、最終的には手で持つことになります。おしぼりは早めに追加でもらっておくと安心です。白い服の日は避けたほうが無難でしょう。
なぜ「新子」と呼ぶ?出世魚コノシロの幼魚から名前をもらった
「新子」という言葉は、もともと魚の世界の言葉です。出世魚であるコノシロは、成長段階によって呼び名が変わり、4〜5cmほどの幼魚はシンコ(新子)と呼ばれます。この「若くて小さいもの」を指す呼び名を、若鶏にも当てはめたのが「新子焼き」の語源とされています。
旭川では鶏や魚の若いものを「新子」と呼ぶ習慣があり、この料理に定名が付いたと上川総合振興局の資料でも説明されています。ちなみに、親鳥を焼いたものは「山賊焼」として区別されます。同じ半身焼きでも、若鶏か親鳥かで名前が変わるわけです。
この由来を知っていると、店で店主と話すきっかけになります。カウンターしかない小さな店が多いので、焼き上がりを待つ30分のあいだに「新子ってコノシロのことなんですよね」と振ると、たいてい話が広がります。旭川の焼き鳥店は観光客慣れしている店も多く、初めてでも入りやすい雰囲気です。
ただし、由来には諸説あるとされている点は押さえておきましょう。断定的に「これが正解です」と言い切れる資料は見当たりません。会や自治体の資料でも「〜と言われる」という書き方がされています。知識として楽しむくらいの距離感がちょうどいいと思います。
旭川の焼き鳥店では「新子焼き」と言えば通じますが、店によってメニュー表記が微妙に違います。「新子てり焼き」と書かれていたり、単に「新子」だったりすることもあります。メニューに見当たらないときは、遠慮なく「新子焼きありますか」と聞いてみてください。
戦後の旭川で生まれた必然——豚肉文化の街に鶏の名物ができた理由
新子焼きが旭川で生まれたのは偶然ではありません。背景にあるのは、戦後の食料事情と北海道の気候です。当時の旭川には養豚場は多くあったものの養鶏場は少なく、食料が不足していました。積雪寒冷の環境で効率よくたんぱく質を確保する必要があり、比較的安価だった鶏肉に目が向けられます。
しかも成長を待っている余裕がない。そこで若鶏の段階で栄養を最大限に取る調理法として編み出されたのが、半身をまるごと焼く新子焼きだったと考えられています。第二次世界大戦後から食べられていた記録が残っており、1950年代には市内の居酒屋で供されるようになったとされます。
意外なのは、当時の新子焼きは「高級品」だったという点です。上川総合振興局の資料には、お祝いごとなどの特別な日に食べるものだったと記されています。いまでこそ庶民的な一皿ですが、出発点はごちそうでした。焼き鳥店のメニューの中で新子焼きだけ価格が突出しているのは、この名残とも読めます。
知っておきたい注意点として、旭川の焼き鳥店では鶏より豚のメニューのほうが多い店も珍しくありません。「チャップ」と呼ばれる豚肩ロースのステーキや、豚レバー・豚たん・豚バラの串が主力という店もあります。鶏だけを目当てに行くと肩透かしを食らうので、豚も一緒に楽しむつもりで行くと満足度が上がります。
2022年に文化庁「100年フード」認定、4月5日は「新子焼きの日」
新子焼きは、いまや公的に認められた食文化です。2022年(令和4年)、文化庁が選定する「100年フード」に認定されました。100年フードは、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を文化庁が認定する制度で、北海道からは芦別のガタタン、室蘭やきとりなどとともに旭川の新子焼きが選ばれています。
知名度が広がった転機は2012年(平成24年)です。この年、焼鳥専門ぎんねこの久保竜弥さんと焼鳥店「らんまん」の店主が中心となり、6店舗で「旭川名物“新子焼き”の会」が発足しました。現在は10店前後が参加しています。それ以前は北海道内でもほとんど知られていなかった料理が、会の結成をきっかけに全国区になっていきました。
さらに2014年(平成26年)には、4月5日が「新子焼きの日」として日本記念日協会に認定・登録されています。日付の由来は「し(4)んこ(5)」の語呂合わせ。会では割引提供やアンケート企画、食べ歩きスタンプラリー、ノベルティ配布といった活動も行われてきました。
旅行の日程に融通が利くなら、4月5日前後に旭川を訪れるのは一つの手です。ただし、企画の内容や実施の有無は年によって変わります。行く前に「旭川名物“新子焼き”の会」の公式サイトを確認しておきましょう。旭川名物“新子焼き”の会 公式サイトでは加盟店の一覧も公開されています。文化庁の制度そのものは文化庁「100年フード」公式ページで確認できます。
「焼き鳥横丁」5・7小路ふらりーとで食べる老舗2軒
旭川で新子焼きを食べるなら、まず候補に挙がるのが5・7小路ふらりーとです。JR旭川駅から買物公園をまっすぐ北へ歩いて10分ほど、5条通を左に曲がった先にある細い小路。正式名称は「中央市場」で、大正9年(1920年)に発足した歴史を持ちます。戦前は魚菜市場として栄え、その後は焼き鳥店が集まり「焼き鳥横丁」の愛称で親しまれてきました。
焼鳥専門ぎんねこ|昼13時から開く2,000円の名物
新子焼きの店を1軒だけ選ぶなら、ぎんねこが最有力です。昭和25年(1950年)創業、新子焼きの会の発足を主導した店でもあります。新子焼きは2,000円。北海道産の伊達鶏を炭火でじっくり焼き上げ、創業以来継ぎ足してきた秘伝のタレをまとわせます。味付けはタレか塩を選べ、店内飲食に限ってハーフ&ハーフも可能です。
この店の強みは営業時間です。火曜から日曜の13:00〜22:00と、昼から開いています。夕方まで旭山動物園や美瑛を回って、夜に札幌へ戻る——そんな日程でも、昼過ぎに新子焼きを押さえられるのは大きい。定休日は月曜日で、駐車場はありません。クレジットカード・電子マネー・QRコード決済に対応しているのも旅行者にはありがたいところです。
注意点は焼き時間です。注文から焼き上がりまで最低30分、混雑時は1時間かかることもあります。席の予約は受け付けていないため、来店の10分ほど前に電話で空席を確認するのが現実的な作戦になります。カウンター12席を中心とした小さな店で、お通しは300円(席料込み)です。
使い分けとしては、一人旅や少人数の飲みに向いています。カウンターで焼き上がりを待ちながら串ものと日本酒を1杯、という時間がこの店の醍醐味です。逆に大人数の宴会には向きません。なお通販の真空冷凍パック(400g+たれ30g)は3,300円で、ジャパン・フード・セレクション2024のグランプリを受賞しています。
| 住所 | 〒070-0035 北海道旭川市5条通7右6 5・7小路ふらりーと |
| 電話番号 | 0166-22-4604 |
| 営業時間 | 火〜日 13:00〜22:00 |
| 定休日 | 月曜日 |
| 新子焼き | 2,000円(タレ・塩・ハーフ&ハーフ) |
| 駐車場 | なし |
| 公式サイト | 焼鳥専門ぎんねこ 公式サイト |
焼鳥どじょうよしや|1927年創業、1,300円のサラッとしたタレ
ぎんねこと同じふらりーとの中にある、1927年創業の超老舗です。新子焼きは1,300円。若鶏の半身を備長炭でじっくり焼き上げ、創業時から継ぎ足しながら使い続けている秘伝のタレで仕上げます。タレはサラッとしたタイプで、こんがり焼いた香ばしさが前に出る味わい。甘辛く煮詰めたタレとは方向性が違います。
価格構成もわかりやすく、チャップ650円、もつくし・かしわ・豚レバーは各4本500円。新子焼き1枚と串を数本、ビールを付けても3,000円前後に収まる計算です。営業時間は15:30〜21:30(L.O.21:00)で、定休日は日曜日。カウンター約10席と小上がり3卓で20数席という規模感です。駐車場はありません。
面白いのは、この店が焼き鳥だけの店ではないところです。店名が示すとおり夏はどじょう料理、冬はうずら料理も提供されます。新子焼きを軸にしつつ、旭川の焼き鳥店の歴史を一皿ずつ味わえる店、という位置づけがしっくりきます。昭和の雰囲気が濃く残る店内も、写真では伝わりきらない魅力があります。
注意したいのは閉店時刻です。ラストオーダーが21:00なので、新子焼きの焼き時間を考えると20:00過ぎの入店は避けたいところ。夜遅くまで飲み歩くタイプの店ではなく、1軒目として早めに入るのが正解です。日曜が定休なので、日曜に旭川入りする旅程の人は別の店を検討してください。
| 住所 | 〒070-0035 北海道旭川市5条通7丁目右6号 5・7小路ふらりーと |
| 電話番号 | 0166-22-1616 |
| 営業時間 | 15:30〜21:30(L.O.21:00) |
| 定休日 | 日曜日 |
| 新子焼き | 1,300円 |
| 駐車場 | なし |
ふらりーとの歩き方——3メートルの通路に18店舗
ふらりーとは、幅3メートルほどの通路の両側に18店舗ほどが並ぶ小路です。焼き鳥・ラーメン・居酒屋・炉端焼きに加えて、ヘアーサロン・酒店・青果店まで混在しています。名称は一般公募で決まったもので、看板をくぐった瞬間に空気が変わる、旭川でも指折りの飲み歩きスポットです。
歩き方のコツは、最初に一周してから決めることです。どの店もカウンター中心の小箱なので、外から中の様子がある程度わかります。新子焼き目当てなら、ぎんねこかよしやのどちらかが空いているほうに入る、という決め方でも失敗しません。両店とも新子焼きの会の加盟店で、味の方向性は違っても外れがない選択です。
アクセスはJR旭川駅から徒歩10分ほど。買物公園(平和通買物公園)をまっすぐ歩いて5条通で左折すれば着きます。冬場は歩道が凍るので、スニーカーよりも滑りにくい靴のほうが安心です。駐車場を持つ店はほぼないため、車の場合は近隣のコインパーキングを使うことになります。
もう一つ。ふらりーとにはラーメン店も入っています。新子焼きのあとに締めの一杯、という旭川らしい流れも組めます。旭川ラーメンの店選びについては、別記事で価格と味の系統を整理しています。

旭川ラーメンを食べに行こうと決めたものの、「蜂屋と梅光軒、どっちが自分好みなんだろう」「駅からどのくらい歩くの?」と手が止まっていませんか。旭川市内のラーメン店…
ふらりーとの店はどこもカウンター中心の小さな店です。4人以上のグループだと入れないことがあります。人数が多い日は、席数21席の三代目かん太郎や、約60席で個室もある鳥料理小野木のほうが現実的です。
旭川駅から歩ける繁華街の2軒|950円から味わえる名店

ふらりーとの外にも、旭川駅から徒歩圏で新子焼きが食べられる店があります。ここで紹介する2軒は、価格帯も雰囲気も対照的です。片方は日本酒と一緒に少量ずつ楽しむ居酒屋、もう片方は焼き鳥をがっつり食べる店。旅の目的に合わせて選び分けてください。
独酌三四郎|950円の新子焼きと日本酒、テレビドラマの舞台にもなった老舗
6軒の中で新子焼きが最も手頃なのが、独酌三四郎の950円です。1946年創業の居酒屋で、ミシュランガイド北海道2012特別版に掲載され、2016年にはテレビドラマ『孤独のグルメ』の旭川編で紹介されました。全国的な知名度がある一方、店の中は驚くほど静かで、日本酒をゆっくり飲むための空間になっています。
メニューは新子焼きだけではありません。うな丼は小2,300円・大4,600円、刺身盛合わせ(二人前)2,000円、身欠きにしん650円。北海道の居酒屋らしい品揃えに加えて、うなぎまで揃うのがこの店の懐の深さです。新子焼きを950円で頼み、日本酒と刺身を合わせても、予算は5,000円台に収まります。
営業は火曜から土曜の17:00〜21:00(L.O.20:30)。定休日は日曜・月曜・祝日で、夏季休業と年末年始の休みもあります。住所は旭川市2条通5丁目左7号、電話は0166-22-6751。駐車場はなく、未就学児の入店はできません。カウンターと小上がり、2階席を合わせて約20席という規模です。
向いているのは、一人でしっとり飲みたい人や、日本酒好きのカップル・友人同士です。逆に、子ども連れや大人数の宴会には使えません。週末は予約なしではまず入れないとも言われるので、旅程が決まっているなら早めに電話しておきましょう。営業時間が21時までと短い点も要注意です。
| 住所 | 北海道旭川市2条通5丁目左7号 |
| 電話番号 | 0166-22-6751 |
| 営業時間 | 火〜土 17:00〜21:00(L.O.20:30) |
| 定休日 | 日曜・月曜・祝日(夏季休業・年末年始あり) |
| 新子焼き | 950円 |
| 駐車場 | なし(未就学児の入店不可) |
三代目かん太郎|1,700円、箸で食べる焼き鳥の老舗
昭和22年(1947年)創業、旭川の焼き鳥文化を語るうえで外せない店です。新子焼きは1,700円。若鶏の半身を備長炭でじっくり焼き上げ、親子三代で継ぎ足してきた秘伝のタレを使います。この店のキャッチコピーは「箸で食べる焼き鳥屋」。串に刺さっていない焼き鳥を出すスタイルを、創業から貫いています。
サイドメニューの充実ぶりも特筆点です。豚肩ロースステーキの「チャップ」880円、豚の舌の根もと「たんもと」660円(数量限定)、鶏モモ660円、手羽先塩焼き640円、つくね610円、ホルモン唐揚げ660円。豚肩ロースと玉ねぎのチャップ丼880円もあり、締めの一品まで揃います。生ビールは550円で、平均予算は2,000円台です。
営業時間は15:30〜22:00(L.O.21:00)、定休日は日曜日ですが祝日は営業します。総席数は21席(カウンター5席、小上がり4人卓2つ、6人卓1つ)。専用の無料駐車場があるのが、駅前の店にはない強みです。車で旭川を回っている人、家族で来る人にとってはこの1点だけで候補になります。
注意点は、6軒の中で新子焼きが2番目に高い1,700円という価格です。ただしこれは若鶏半身1枚の値段で、2〜3人で分ければ一人600円前後。串やチャップと組み合わせる前提で考えると、決して割高ではありません。日曜が定休である点だけ、旅程と照らし合わせてください。
| 住所 | 〒070-0033 北海道旭川市3条通13右1 |
| 電話番号 | 0166-22-5244 |
| 営業時間 | 15:30〜22:00(L.O.21:00) |
| 定休日 | 日曜日(祝日は営業) |
| 新子焼き | 1,700円 |
| 駐車場 | あり(専用・無料) |
| 公式サイト | 三代目かん太郎 公式お品書き |
失敗パターン①|金曜の夜に予約なしで行って、3軒とも満席だった
新子焼きの店で最も多い失敗が、週末夜の飛び込みです。独酌三四郎は週末になると予約なしではまず入れないと言われ、ふらりーとの店はどこもカウンター中心の小箱。20席前後の店が3軒あっても、合計で60席しかありません。金曜19時に旭川駅から歩いて向かうと、全滅する可能性が現実的にあります。
原因は席数だけではありません。新子焼きは焼き上がりに30分以上かかるため、客の回転が遅いのです。1組が席に着いている時間は、串だけを頼む客より確実に長くなります。席数が少ない × 回転が遅いという掛け算が、満席の壁を作っています。
対策は3つあります。1つ目は予約できる店は予約すること(独酌三四郎、三代目かん太郎)。2つ目は、予約を受けていないぎんねこは来店10分前に電話で空席を確認すること。3つ目は、開店直後を狙うことです。ぎんねこは13:00、かん太郎とよしやは15:30に開きます。夕方17時前に入ってしまえば、待ち時間の問題はほぼ消えます。
それでも入れなかったときの逃げ道も用意しておきましょう。ふらりーと周辺には焼き鳥店が複数あり、新子焼きの会には10店前後が加盟しています。事前に第2候補・第3候補をスマホのメモに入れておくだけで、旭川の夜が無駄になりません。
郊外まで足を延ばす価値がある2軒|770円の名店とお持ち帰り専門
旭川駅周辺から離れると、また違う新子焼きに出会えます。ここで紹介する2軒は、どちらも車があると格段に行きやすい店です。旭山動物園とセットで回れる立地と、札幌へ持ち帰れる形態。旅程に組み込みやすいのはむしろこちらかもしれません。
鳥料理小野木|770円、ミシュランプレートを獲った大正創業の鶏料理店
6軒で最も安い新子焼き770円を出すのが、鳥料理小野木です。創業は1922年(大正11年)。旭山動物園通り沿いにあり、ミシュランガイド北海道2017特別版で「ミシュランプレート」を獲得しています。タレは甘さ控えめで、鶏そのものの味を邪魔しない仕上がり。この価格でミシュラン掲載店の一皿が食べられる事実は、もっと知られていいと思います。
名物は新子焼きだけではありません。単品715円の「千鳥揚げ」、それを定食にした千鳥揚げ定食1,045円、ささみに甘辛ダレをかけた鳥重600円と、昼にしっかり食べられるメニューが揃っています。すき焼きや鳥鍋も提供する総合的な鶏料理店で、総席数は約60席。個室と宴会場もあり、駐車場は約15台分あります。
旭山動物園から車で近い立地なので、動物園の帰りに寄るコースが組めます。家族連れや、大人数のグループにも対応できる数少ない新子焼きの店です。テイクアウトにも対応しているため、宿に持ち帰って食べるという使い方もできます。
最大の注意点は営業時間です。夜まで営業するのは土曜・日曜だけで、水曜〜金曜は11:00〜15:00の昼営業のみ。定休日は火曜日と第1・第3月曜日です。営業時間は変更されることがあるため、訪問前に0166-36-1146へ電話で確認するのが確実です。鳥料理小野木の公式サイトでも定休日変更のお知らせが随時出ています。
| 住所 | 〒078-8251 北海道旭川市東旭川北1条6丁目10-27 |
| 電話番号 | 0166-36-1146 |
| 営業時間 | 水〜金 11:00〜15:00/土・日 11:00〜20:00 |
| 定休日 | 火曜日・第1/第3月曜日 |
| 新子焼き | 770円 |
| 駐車場 | あり(約15台) |
| 公式サイト | 鳥料理 小野木 公式サイト |
とり丸亭|醤油を使わない塩ダレ、通販とふるさと納税でも買える
旭川市永山にあるとり丸亭は、ここまでの5軒とは性格が違います。醤油を使わず、塩ダレに漬け込んで焼き上げるのが特徴。北海道伊達産の若鶏を使い、さっぱりとした味わいに仕上げます。タレの甘辛さが新子焼きの定義だと思っている人ほど、ここの一皿には驚くはずです。
もう一つの違いは形態です。持ち帰りと通販が中心で、店内はイートインコーナー8席、駐車場は8台分。永山本店は金曜・土曜の11:00〜19:00の営業で、千代ヶ岡2号店が火・水・木・日曜の11:00〜17:00という体制になっています。イベント出店で休むこともあるため、来店前の電話確認は必須です。
そして最大の強みが、旭川に行かなくても食べられること。新子焼き(たれ)の真空冷凍パックは若鶏半身450gで2,160円、旭川市のふるさと納税返礼品にも採用されています。真空パックなので温めるだけで食べられ、モモ・ムネ・手羽・鶏皮といった部位の食感の違いもそのまま味わえます。
向いているのは、車で旭川市内を移動している人と、札幌や道外に住んでいて「まず家で食べてみたい」という人です。逆に、旭川駅周辺だけを歩く旅程の人には距離があります。店頭価格は公表されていないため、イートインで食べる場合は電話で確認しておきましょう。
| 住所 | 北海道旭川市永山4条10丁目1-17 |
| 電話番号 | 0166-47-8869 |
| 営業時間 | 永山本店 金・土 11:00〜19:00 |
| 定休日 | 月〜木・日曜(イベント出店時は休業) |
| 新子焼き(通販) | たれ・若鶏半身450g 2,160円 |
| 駐車場 | あり(8台) |
失敗パターン②|夜に小野木へ向かったら、その日は昼営業だけだった
郊外の店で起きやすいのが、営業時間の読み違えです。鳥料理小野木は水曜〜金曜が11:00〜15:00の昼営業のみで、夜まで開いているのは土曜・日曜だけ。「ミシュラン掲載の鶏料理店で夜ごはん」と決めて木曜の18時に車を走らせると、閉まった店の前に立つことになります。
原因は、飲食店情報サイトによって掲載されている営業時間が違うことです。同じ店でも「11:00〜22:00」と載っているサイトと、曜日別に分けて載っているサイトがあります。郊外店の場合、この差が致命傷になります。駅前なら別の店に流れられますが、車で15分走った先では選択肢がありません。
対策はシンプルで、郊外の店に行く日は必ず電話を1本入れることです。小野木は0166-36-1146、とり丸亭は0166-47-8869。営業しているかどうかに加えて、新子焼きの在庫があるかも聞いておくと万全です。半身をまるごと使う料理なので、仕込みの数には限りがあります。
もう一つの保険は、昼に食べてしまうことです。小野木は昼から新子焼きが頼めますし、ぎんねこも13:00開店。旭山動物園を午前中に回って、昼に新子焼き、午後は美瑛や旭川市内観光——という組み立てなら、営業時間のリスクをほぼ回避できます。
旭川の焼き鳥店で「チャップ」と書かれていたら、豚肩ロースのステーキのことです。三代目かん太郎で880円、焼鳥どじょうよしやで650円。新子焼きと並ぶ旭川の定番で、地元の人はほぼセットで頼みます。初めてなら1枚追加してみてください。
旭川の新子焼き6軒を価格・味付け・営業時間で比較【さっぽろノート調べ】
ここまで紹介した6軒を、判断材料になる項目で横並びにします。価格は公式サイト・食べログ・グルメ情報サイトで確認した2026年8月時点の情報です。同じ「若鶏の半身1枚」でも、店によってここまで条件が違います。
| 店名 | 新子焼き | 営業時間 | 定休日 | 駐車場 |
|---|---|---|---|---|
| 鳥料理 小野木 | 770円 | 水〜金 11:00〜15:00 土・日 11:00〜20:00 |
火曜・第1/第3月曜 | あり(約15台) |
| 独酌 三四郎 | 950円 | 火〜土 17:00〜21:00 | 日・月・祝日 | なし |
| 焼鳥どじょう よしや | 1,300円 | 15:30〜21:30 | 日曜 | なし |
| 三代目 かん太郎 | 1,700円 | 15:30〜22:00 | 日曜(祝日は営業) | あり(専用無料) |
| 焼鳥専門 ぎんねこ | 2,000円 | 火〜日 13:00〜22:00 | 月曜 | なし |
| とり丸亭 | 2,160円 (通販450g) |
金・土 11:00〜19:00 | 月〜木・日曜 | あり(8台) |
価格は770円から2,000円まで——2.6倍の開きがある理由
表を見て最初に驚くのが価格差です。最安の鳥料理小野木770円に対し、焼鳥専門ぎんねこは2,000円。同じ「若鶏の半身1枚」で2.6倍の差がついています。この差は品質の差というより、店の業態と鶏の仕入れの差だと考えるのが自然です。
小野木は総席数約60席の鶏料理店で、すき焼き・鳥鍋・千鳥揚げなど幅広いメニューを回転させています。新子焼きは数あるメニューの一つ。対してぎんねこは焼鳥専門店で、北海道産伊達鶏を炭火で1枚ずつ焼き上げ、新子焼きが看板商品です。1枚あたりに投じる手間と原価の位置づけが違います。
予算の組み立て方としては、新子焼き+串数本+ドリンクで一人3,000円前後を見ておけば、どの店でも足ります。焼鳥どじょうよしやなら串は4本500円、三代目かん太郎なら鶏モモ660円・つくね610円。生ビールは両店とも550円です。新子焼きを2〜3人で分ければ、一人あたりの負担はさらに下がります。
注意すべきは、ぎんねこにはお通し300円(席料込み)がある点です。また独酌三四郎は新子焼き自体は950円と安いものの、日本酒や刺身を頼むと夜の平均予算は5,000円台になります。「新子焼きの値段=会計の目安」ではないので、店全体の予算感で見てください。
タレか塩か——味付けの方向性で選ぶ
味付けは店ごとにはっきり違います。旭川ではタレで味付けするのが特徴とされていますが、その「タレ」の性格が一様ではありません。焼鳥どじょうよしやのタレはサラッとしたタイプで、こんがり焼いた香ばしさを引き立てる方向。鳥料理小野木は甘さ控えめで、鶏の味を前に出します。
一方、焼鳥専門ぎんねこと三代目かん太郎は、創業から継ぎ足してきた秘伝のタレが看板です。ぎんねこは昭和25年から、かん太郎は昭和22年から。70年以上継ぎ足されたタレは、単に甘辛いだけでなく複雑なコクを持ちます。そして異色なのがとり丸亭で、醤油を一切使わず塩ダレに漬け込むスタイルです。
選び方の指針はこうです。初めての1軒なら、旭川らしいタレの味を知るためにぎんねこかかん太郎。2軒目以降で味の幅を知りたいなら、よしやのサラッとしたタレか、とり丸亭の塩ダレ。日本酒に合わせたいなら、甘さが控えめな小野木や独酌三四郎が合わせやすいでしょう。
迷ったときの裏技が、ぎんねこのハーフ&ハーフです。1枚の中でタレと塩の両方を試せます(店内飲食限定)。1軒しか行けない旅程なら、これが最も情報量の多い選択になります。ただし焼き上がりまでの時間は変わらないので、入店したらすぐに注文してください。
昼に食べられる店・夜しかやっていない店
旅行者にとって、価格以上に効いてくるのが営業時間です。6軒のうち昼に新子焼きが食べられるのは、鳥料理小野木(11:00〜)、焼鳥専門ぎんねこ(13:00〜)、とり丸亭(金・土 11:00〜)の3軒。残る3軒は夕方以降の営業です。
日帰りや札幌からの往復なら、昼に食べられる店を選ぶのが確実です。旭川駅から特急で札幌へ戻る場合、夕方の便に乗るなら夜の店は使えません。ぎんねこが13時から開いているのは、この点で旅行者に圧倒的に有利です。焼き上がりに30分かかっても、13:30には食べ始められます。
逆に旭川に宿泊するなら、夜の3軒が選択肢に入ります。独酌三四郎は17:00〜21:00(L.O.20:30)、焼鳥どじょうよしやは15:30〜21:30(L.O.21:00)、三代目かん太郎は15:30〜22:00(L.O.21:00)。いずれも早めの時間に入ったほうが、待ち時間も混雑も避けられます。
定休日にも癖があります。日曜が休みなのは独酌三四郎・よしや・かん太郎の3軒。日曜に旭川で新子焼きを食べたいなら、ぎんねこ(日曜営業・月曜休み)か小野木(土日は夜まで営業)に絞られます。旅程を組む前に、この一覧を確認しておくと無駄足を踏みません。
実は「安い店=物足りない」ではない、という話
意外と知られていないのですが、新子焼きは価格と満足度が単純比例しません。最安の770円を出す鳥料理小野木は、ミシュランガイド北海道2017特別版でミシュランプレートを獲得した1922年創業の老舗です。価格が安いのは、大箱の鶏料理店として多様なメニューを回している業態だからで、一皿の完成度が低いわけではありません。
逆に高い店にも理由があります。ぎんねこの2,000円は、北海道産伊達鶏を1枚ずつ炭火で焼き、30分以上かけて仕上げる手間の対価です。通販の真空冷凍パックがジャパン・フード・セレクション2024でグランプリを受賞していることからも、商品としての完成度の高さがうかがえます。
つまり、価格は「どんな体験を買うか」の違いです。焼き鳥専門店のカウンターで焼き上がりを待つ時間そのものを楽しみたいならぎんねこ、家族で気軽に鶏料理を食べたいなら小野木。予算だけで序列をつけると、選択を誤ります。
旭川グルメ全体で見ても同じことが言えます。ラーメン、ジンギスカン、新子焼きと名物が揃う街ですが、価格の高低と満足度は別軸です。旭川で何を食べるか迷っている人は、こちらの記事も参考にしてください。

旭川に行くなら、何を食べればいい?そう聞かれたら「旭川ラーメン・新子焼き・塩ホルモンは外せない」と即答できます。北海道第2の都市として知られる旭川市は、人口約3…
日程に融通が利かない旅行者は「昼に食べられるか」で選ぶのが最優先です。焼鳥専門ぎんねこ(13:00〜)と鳥料理小野木(11:00〜)の2軒を押さえておけば、夜の予定が読めない日でも新子焼きにたどり着けます。
注文前に知っておきたいこと|焼き上がり30分の待ち時間をどう使うか
新子焼きは、注文してから食べるまでに独特のリズムがあります。これを知らずに入ると「まだ来ないのか」とやきもきし、知っていれば待ち時間ごと楽しめます。ここでは実際に困りやすいポイントを4つに整理します。
焼き上がりまで最低30分——入店直後に頼むのが鉄則
新子焼きは、半身をまるごと炭火で焼く料理です。焼鳥専門ぎんねこでは最低30分、混雑時には1時間ほどかかることもあると案内されています。三代目かん太郎でも備長炭で約20分かけて焼くとされており、串焼きのように数分で出てくる料理ではありません。
だから注文の順番が重要です。席に着いたら、まず新子焼きを頼む。それから串やチャップ、ドリンクを追加する。この順番を守るだけで、待ち時間の体感が大きく変わります。逆に串を食べ終わってから新子焼きを頼むと、締めのはずが30分の空白時間になります。
待ち時間の使い方も考えておきましょう。ぎんねこには7本セットの「串のフルコース」があり、焼き上がりを待つ間にちょうどいいボリュームです。三代目かん太郎ならチャップ880円やホルモン唐揚げ660円、焼鳥どじょうよしやならかしわ4本500円。どの店も、待たせることを前提にした構成になっています。
注意点として、閉店1時間前の入店は避けてください。ラストオーダーが21:00の店で20:45に新子焼きを頼んでも、焼き上がりが閉店時刻を超えてしまいます。断られることもあれば、慌ただしく食べることになる場合もあります。余裕を持った時間設定が結局いちばん美味しく食べられます。
半身は一人で食べきれる?シェアの目安
結論としては、一人でも食べきれます。とり丸亭の商品で若鶏半身450gという表示があり、これは大きめのから揚げ定食1人前程度の量です。ただし骨があるぶん実際の可食部はそれより少なく、見た目のインパクトほどには重くありません。
とはいえ、旭川の店では2〜3人でシェアするのが一般的です。理由は、串やチャップなど他に食べたいメニューが多いから。一人で半身を平らげると、それだけで満腹になってしまいます。三代目かん太郎の平均予算が2,000円台に収まっているのも、シェア前提の食べ方が浸透しているからでしょう。
人数別の目安を挙げると、2人なら新子焼き1枚+串4〜6本、3〜4人なら新子焼き1枚+串8〜12本+チャップ1枚。一人で行くなら、新子焼き1枚に串2〜3本で十分です。ぎんねこのように飲み物を最低1杯注文する決まりがある店もあるので、ドリンクも忘れずに。
注意したいのは食べ残しです。半身1枚を注文して残すのは、焼くのに30分かけている店に対して気まずいものがあります。食べきれるか不安なら、店の人に量を聞いてから決めてください。小さな店ばかりなので、質問すればきちんと教えてくれます。
手で持って食べていい?地元の食べ方
手で持って構いません。むしろ、それが正しい食べ方です。新子焼きは骨付きの半身なので、箸だけでは骨まわりの肉が取り切れません。三代目かん太郎が「箸で食べる焼き鳥屋」を掲げているように、まず箸で切り分け、最後は手で持ってかぶりつく——という流れが自然です。
手順としては、包丁が入っている店ならそれに沿って身をほぐし、もも肉から手をつけます。次にむね肉、手羽の順に進み、皮は好みのタイミングで。骨まわりに残った肉は、遠慮せず手で持って食べるのがいちばん美味しく食べられます。
味変も覚えておくと楽しめます。焼鳥らんまんのように、秘伝のタレに白コショウをたっぷり振って食べる流儀が旭川にはあります。卓上にコショウが置かれている店なら試してみてください。半身は量があるので、途中で味を変えられると最後まで飽きません。
気をつけたいのは服装です。手も口元もタレで汚れます。おしぼりは1枚では足りないことが多いので、早めに追加をお願いしましょう。カウンターの店では隣との距離が近いので、豪快にいきすぎないよう少しだけ気を配ると安心です。
よくある疑問をまとめて解決
初めて新子焼きを食べる人から出やすい疑問を、Q&A形式で整理しました。どれも店に着いてから困りがちなポイントです。
2つ目の疑問は支払い方法です。焼鳥専門ぎんねこはクレジットカード(VISA・Master・JCB・AMEX・Diners)、電子マネー、QRコード決済に対応しています。独酌三四郎もクレジットカードが使えます。ただし小さな個人店では現金のみという店もあるため、旭川で飲み歩く日は現金を数千円持っておくと安心です。
3つ目は子ども連れの可否。独酌三四郎は未就学児の入店ができません。家族で新子焼きを食べるなら、総席数約60席で個室や宴会場もある鳥料理小野木、または駐車場付きで小上がりのある三代目かん太郎が候補になります。ふらりーとの小箱は、小さな子ども連れには少し窮屈です。
4つ目はテイクアウト。鳥料理小野木はテイクアウトに対応し、とり丸亭は持ち帰りと通販が中心です。焼鳥専門ぎんねこも真空冷凍パック3,300円を通販で扱っています。ホテルの部屋で食べたい、家族に持って帰りたいという場合は、この3軒を当たってみてください。
新子焼きは半身をまるごと使うため、仕込みの数に限りがあります。遅い時間に行くと売り切れていることがあります。「その日の営業はしているが新子焼きはもう無い」という状況を避けたいなら、開店から2時間以内の来店を目指してください。
シーン別の選び方とお土産・通販という選択肢
同じ新子焼きでも、誰と行くかで最適な店は変わります。ここまでの情報をシーン別に整理し直します。旅程を決める段階でこの章だけ読んでもらえれば、店選びで迷う時間はかなり減るはずです。
一人旅なら|カウンターで焼き上がりを待つ時間を楽しむ
一人旅に向いているのは、焼鳥専門ぎんねこと独酌三四郎です。どちらもカウンター中心の店で、一人客が浮きません。ぎんねこは13:00から開いているので、到着した日の午後にそのまま向かえます。新子焼き2,000円と串を数本、飲み物1杯で3,000円台という組み立てが標準的です。
独酌三四郎は、日本酒をゆっくり飲みたい一人客に合います。新子焼き950円、身欠きにしん650円、刺身盛合わせ(二人前)2,000円といったラインナップで、北海道の居酒屋らしい夜になります。17:00開店なので、開店と同時に入ればカウンターを確保しやすいでしょう。
一人旅で気をつけたいのは量です。半身1枚は一人でも食べきれますが、それだけで腹が満たされます。旭川で他にも食べたいものがあるなら、串を控えめにするか、新子焼きを別の日に回すという判断も必要です。特にラーメンとハシゴする予定なら、配分を考えておきましょう。
もう一点、両店とも駐車場がありません。レンタカーで旭川を回っている一人旅なら、駐車場のある三代目かん太郎か鳥料理小野木のほうが動きやすくなります。飲むなら車は置いていく前提で、宿の場所も含めて考えてください。
カップル・友人となら|1枚をシェアして串を広く頼む
2人で行くなら、新子焼き1枚をシェアして串を広く頼むのが最も満足度が高い食べ方です。三代目かん太郎なら新子焼き1,700円に、チャップ880円、鶏モモ660円、つくね610円、生ビール550円×2で合計5,000円前後。二人で分ければ一人2,500円ほどです。
焼鳥どじょうよしやも2人向きです。新子焼き1,300円に、かしわ4本500円、もつくし4本500円、豚レバー4本500円、チャップ650円。1927年創業の店内は昭和の雰囲気が濃く、写真を撮りたくなる空間でもあります。日曜が定休なので、旅程だけ確認してください。
会話を楽しみたいなら、席の配置も見ておきましょう。三代目かん太郎はカウンター5席のほかに小上がりが4人卓2つと6人卓1つ。よしやはカウンター約10席と小上がり3卓。小上がりが取れれば、荷物も置けてゆっくりできます。予約時に希望を伝えておくと通ることがあります。
注意点は、どちらも人気店だということです。2人でも週末は待つ可能性があります。開店時刻の15:30に合わせて入るのが最も確実。早い時間から飲み始めて、21時前には店を出て旭川の夜を歩く——そんな流れが旭川では自然です。
家族連れなら|席数と駐車場で選ぶ
子ども連れで新子焼きを食べるなら、鳥料理小野木が最有力です。総席数は約60席、個室や宴会場もあり、駐車場は約15台分。旭山動物園通り沿いにあるので、動物園の帰りに寄れます。新子焼き770円に加えて、千鳥揚げ定食1,045円や鳥重600円といった子どもでも食べやすいメニューが揃っている点も大きい。
もう一つの候補が三代目かん太郎です。専用の無料駐車場があり、小上がりは4人卓が2つと6人卓が1つ。座敷なら小さな子どもがいても落ち着けます。新子焼き1,700円、チャップ丼880円と、丼ものがあるのも家族向けです。ただし総席数は21席なので、事前予約が前提になります。
逆に避けたほうがいいのは、独酌三四郎(未就学児の入店不可)と、ふらりーとのカウンター中心の店です。通路幅3メートルの小路にベビーカーで入るのは現実的ではありません。旅の目的が「家族でご当地グルメを食べる」なら、郊外の大箱を選ぶほうがストレスがありません。
時間帯にも注意してください。小野木が夜まで営業するのは土曜・日曜のみ。平日に家族で行くなら昼食にするのが確実です。旭山動物園を午前中に回って、昼に小野木で新子焼き、という組み立てなら移動も食事もきれいに収まります。
旭川まで行けないなら|通販・ふるさと納税で取り寄せる
札幌在住で「旭川まで2時間かけるほどでは……」という人や、道外の人には通販という手があります。焼鳥専門ぎんねこの新子焼き真空冷凍パックは、400gとたれ30gのセットで3,300円。ジャパン・フード・セレクション2024のグランプリを受賞した商品です。1個入りから4個入りまで選べます。
とり丸亭の新子焼き(たれ)は、若鶏半身450gで2,160円。醤油を使わない塩ダレ仕立てで、旭川市のふるさと納税返礼品にも採用されています。真空パックなので温めるだけで食べられ、モモ・ムネ・手羽・鶏皮の食感の違いもそのまま残ります。ふるさと納税を使えば、実質的な負担はさらに下がります。
通販を選ぶ場面は、家で家族と食べたいとき、旅行前に味を知っておきたいとき、そして北海道土産として贈りたいときです。冷凍便なので日持ちもします。旭川に行った経験がある人へのお土産としても、話題性のある一品になります。
ただし注意点もあります。炭火で焼きたてを食べる体験そのものは、通販では再現できません。皮のパリパリ感や、焼き上がりを30分待つあいだの高揚感は店でしか味わえないものです。通販はあくまで入り口、と考えておくのが健全でしょう。旭川のお土産全般については、こちらの記事でまとめています。

旭川のお土産、正直どれを買えばいいのか迷いますよね。北海道土産といえば白い恋人やマルセイバターサンドが真っ先に浮かびますが、それは道内どこでも買えるもの。せっか…
| 店で食べるメリット | 通販で取り寄せるメリット |
|---|---|
| 炭火で焼きたての皮のパリパリ感 タレと塩を選べる(ぎんねこはハーフ&ハーフ可) 串やチャップも一緒に頼める 店ごとのタレの違いを比べられる | 旭川へ行かずに食べられる 温めるだけで手間がかからない ふるさと納税の返礼品として選べる 家族や友人への土産にできる |
まとめ|旭川の新子焼きは「昼に食べられるか」で店を選ぶと失敗しない
旭川の新子焼きは、若鶏の手羽を含む半身をまるごと焼いた、戦後から続く旭川市民のソウルフードです。2022年には文化庁の「100年フード」に認定され、4月5日は「新子焼きの日」として日本記念日協会に登録されています。ラーメンの陰に隠れがちですが、旭川に行くならぜひ一度は食べておきたい一皿です。
この記事で紹介した6軒は、価格も雰囲気も営業時間も異なります。最安の鳥料理小野木770円から、焼鳥専門ぎんねこの2,000円まで2.6倍の開きがあり、そのどれもが「どんな体験を買うか」の違いです。予算だけで選ばず、誰と行くのか、何時に食べるのかを先に決めると、答えは自然に絞られます。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 新子焼きとは:若鶏の手羽を含む骨付き半身を焼いた旭川の郷土料理。2022年に文化庁「100年フード」認定
- 価格帯:鳥料理小野木770円/独酌三四郎950円/焼鳥どじょうよしや1,300円/三代目かん太郎1,700円/焼鳥専門ぎんねこ2,000円
- 昼に食べられる店:鳥料理小野木(11:00〜)、焼鳥専門ぎんねこ(13:00〜)、とり丸亭(金・土 11:00〜)
- 焼き時間:最低30分、混雑時は1時間。入店直後に注文するのが鉄則
- 予約:ぎんねこは予約不可(来店10分前に電話で空席確認)、独酌三四郎と三代目かん太郎は予約可
- 駐車場あり:三代目かん太郎(専用無料)、鳥料理小野木(約15台)、とり丸亭(8台)
- 通販:ぎんねこ3,300円(400g+たれ30g)、とり丸亭2,160円(若鶏半身450g・ふるさと納税返礼品にも採用)
最初の一歩としておすすめしたいのは、旭川に着いた日の昼に焼鳥専門ぎんねこへ向かうことです。13時開店なので午後の予定を崩さず、タレと塩のハーフ&ハーフを頼めば1枚で味の幅がわかります。焼き上がりを待つ30分は、串のフルコースと一緒に過ごせば長くは感じません。そこで自分の好みがつかめたら、次の旅では別の店へ。旭川には、まだ試していない秘伝のタレがいくつも残っています。
※営業時間・定休日・価格は変更されることがあります。訪問前に各店舗の公式サイトまたは電話でご確認ください。

コメント